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最上 〜MOGAMI
拙文 Honey so Sweetについてのご批判・ご指導について
2008-02-14-Thu  CATEGORY: 未分類
まず、ご多忙にも関わらず拙文Honey so Sweetをご高覧頂きまして、幸甚の極み
と心得ます。
また、極少数ではございましたが、貴重なご意見・ご指導を頂きましたので、ここに転載し愚見を述べたいと思います。

ご意見:「得意なことをしなさい。」(私が「台詞まわしに不安(苦手)があるのでご指導お願い」という問い掛けに対して。)

愚見:なるほど(語弊を覚悟で)思いのほか肯綮に中っているのかもしれません。
且つこういった簡素さというのは、(つまり「既存」する言葉は)読者を行間や紙背に導かせますね。後々詳しく明らかにしたいと思います。

ご意見:詩のことは詳しく分からないので・・きっと言葉を大事に使わないといけない分野だと思うので 「光源」「やうやう」「軍靴のマーチ」「日本語でOK」など、既存の概念をすぐ連想させるような言葉は使わないほうがいいと思います。

愚見:詩的小説を念頭には置きました。事実。ただ形式というのは罰が罪に先行するようなもので、あるいは「創作する芸術家というものは通例自分の芸術の諸原理を理路整然と解説出来るものではない。彼は諸原理に則って創造するものでもなく、、、云々」《フッサール 論理学研究》と「も」あります。解釈はお任せします。(哲学は世俗的な意味で「不得手」です)
「言葉の節約」(と解釈します)については、それだからこそ「既存の概念」が乃至「歴史性のある言葉」が重宝されるべきではありますまいか?
(無論。既存する言葉に新しい概念を!というのであれば、それは別問題(それも大問題だ)でありましょう。たとえばMr.Childrenの「星になれたら」など)
これは、最初の「台詞まわし」の件(くだん)でも私見の披瀝をしたので、これ以上贅しません。
それから歌舞伎町という設定でございますが、これは書き割りとか刺身のつまみたいなもので、椎名林檎さん(女史という言葉はなんか嫌いです)の「歌舞伎町の女王」とは、、ちょっと。「丸の内サディスティック」は「既存の言葉」を上手に使嗾していますね。

ご意見:あえて全文転載します。
    なんというか、まじめに書いたとは思えない。
少なくとも冒頭は他人が読んで分かる文章を書かないと読んでもらえないと思う。

小説なのか詩なのかよくわからないが、小説だとすれば論外。
まず、どんな場所で、どんな人物が、何をやっているのか。
それを読み手が分かるように書かないとダメ。
数行での場面転換が連続するのも小説としては厳しい。

普段どんな小説を読んでるのか気になるが、手元にある小説を冒頭から何枚か
自分で打ち出してみるといいよ。
これは場所の描写なんだなとか、これは人物描写なんだな、とか。考えながらね。
 
愚見:まず、ふざけてこんな長文書きませんww
   「少なくとも冒頭は・・」この行(くだり)は推して頂きます。
   「まず、どんな場所で、、、厳しい。」これは俄に首肯し難い。小説というのが、水銀体温計の律儀さをあるいはHOW TO本の「私の履歴書」的な世話好き根性が必要ならば小説は死ぬだろうし、現に死にかけている。
ただ、読みにくいのは反省します。それは私の及ばぬところという意味で。

とりあえず以上です。なお、現在(仮題)「最後の傑作」を執筆していますが、当初の思惑よりも悪戦苦闘。またよろしくどうぞ。  


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Honey so Sweet 
2008-02-11-Mon  CATEGORY: Hony so Sweet
         Honey so Sweet 

一編の詩の主題が、その詩にとって、無関係でありまた重要なことは、ちょうど一人の人間とその名と同じである。                         ウ゛ァレリー

手櫛デ梳ク音がイタイ。
サンメンキョウがワタシをツクル。サシアタッテ。
壜がアル。其のチュウシュツしたアロマオイルのPOTノ頭ノ余熱デ飛んだニオイがワタシをイニョウする。ツキアタリ。MOJO.            「ワタシからワタシへ」
            影法師
海の近い故郷では自分の影が地上でも空でも放恣に伸びて、泣いても笑っても影が差した。
それで大東京の影の居場所の無さは、彼女の気に入った。
正午前は紙魚のように、夕さりは涎のように正体を失う影。
黒のスウェットの下に世界地図のプリントされたシャツを忍ばせ、歩幅の狭い器用な歩調で、夜の歌舞伎町をなるべく賑やかな方面に向かって歩いていた。
           新・御油の宿      
光源が小さい電飾の連続と知れると、やうやう白粉と香水の綯い交ぜになったのが匂い立つのに気付いた。
客引きの女は誰も顔色が均されていて、空は上海風の招牌に劃され、いつまでも「いつか来た道」のそれで、樹海に迷い込んだようだ。
軍靴のマーチが聞こえてきた。ホスト連が隊伍してHomeBaseに帰順してゆく。中央におわします“今月のナンバーワン”が、片手に日の丸を戴いた扇を颯爽としながら、鼈甲色のグラサンを通して今宵の景気を調べている。
と、扇紙を閉ててちょうど落語家のやるように指呼した。
            万  歳
雨が申し訳に降っている。人はいよいよ色を失い、歌舞伎町は加速していく。肩が延べ三回叩かれる。
「日本語オーケイ?」アルマーニ負けした男が云った「Japaneseオーケイ?」。うがい中のような痙攣した声が、彼女「も」緊張させた。
扇の早くも開いたのに連れて、中天の日の丸が翩翻とした。
「コンニチハ」“ナンバーワン”は云った「外人さんいらっしゃい」。
囃子と洪笑と円の内と外。
しかし、なんと静かなことだろう。内側は。
彼女は少し悪い酒でも飲んだように頭が冴えた。
I hateとI don't like.ホンネとタテマエ。
回答は完璧だった。
「日本語でOK」抑揚の凄い美しさで云った「日本語の不自由な人には、こう云うんでしょ?」。
万歳! 
             潮騒 
お忍びで来日して帝国ホテルに宿をとるセレブ組でもなければ、世界津々浦々から来邦する山谷組でもなかった。
水平屋根のアパートには、タペストリーもタヌキの木彫りもなく、玄関口に瀬戸物の皿もない。
今、彼女は裸だ。
朝ぼらけに吐く息のように白い肌。湯気が紅を塗っていく。
鏡の中にはどこにも日本人の女はいなかった。
が、黒子の少しも“そばかす”でないところが懐石の紫蘇のようである。
「こんな所に影がいたのね」と、ひとりごちた。
床に寝るのには、まだ抵抗がある。
ラブソファーにひとり。
天井が低いので不思議に落ちるのが怖い。
今日という日のために、思わず爪を噛む。
滋味の豊かな海の色の眼には、寄せては返る潮目があった。
意外に日の出の遅い大東京の夜には。さらに。
                      お仕舞い。

エピグラフは堀口大學訳。

東海道五十三次 御油の宿(旅人留女)

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