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最上 〜MOGAMI
甲州石班沢 (こうしゅうかじかざわ)
2008-04-11-Fri  CATEGORY: 甲州石班沢
 <2ちゃんにて批評依頼中>
 岸の端(はな)はもう川だ。 
 草鞋を懐手にして足場を決めた。
 朝ぼらけの富士はただちに水面(みなも)に展けて(ひらけて)、嵩は豊かになり、波が浦に寄せて返ると残さず濁った。
 澪つくし(みおつくし)に鷺(さぎ)が飛びそうにいる。 
 漁り(すなどり)の豊穣なのを報せる瑞(しるし)だ。翁は時めいた。
 四尋半(よんひろはん)の網を投げる。 
 木綿糸はずっと重くなり、力が入ると襟首の汚れた皮に筋の繰り返しが縒って、口の端には海塩(しお)が出た。 
 鷺が飛んだ。
 嘴(くちばし)に鮎(あゆ)が大きい。
 投網を繰り寄せる。どうして口惜しかった。
 と、すぐ立って支度をはじめた坊の黒が勝った目を翁は打ち見た。
 もういっぱいにたたえられていた。


 甲州石班沢 (こうしゅうかじかざわ)
 浮世絵版画。冨嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)の一つ。藍一色の濃淡を基調にして描かれた藍摺絵(あいずりえ)の傑作。藍色は、江戸時代後期に西洋から輸入された顔料、ベロ藍(プルシャンブルー)によるもの。葛飾北斎は、それまで日本になかった鮮やかなこの藍色を取り入れ、一大旋風を巻き起こした。朝もやに霞む富士と突き出た岩の上に立ち、漁をする親子が描かれている。    ーエキサイトismより引用ー
 
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